谷川岳 一ノ倉沢烏帽子沢奥壁中央カンテ

2021年5月31日 メンバー Mtaka Otake たぬき夫妻

天候 快晴のち晴れ、下山時より雨

梅雨を目前に貴重な移動性高気圧に覆われ久しぶりに山行を楽しみに谷川岳へ、今シーズン登り始めとなる無雪期アルパインを楽しみに行ってきました。
早朝、日の出と共にベースプラザよりアプローチ開始。
残雪期に訪れた時のモノクロの世界とは一転、樹林の葉は新緑から藍に染まり始め一気に季節が進んでいることに実感を抱きながら、樹林の緑に清々しい日差しの注ぐ中心地良く足を進め一ノ倉沢出合へ進みます。
今季は雪解けが早いと各地では言われているも、一ノ倉沢にては例年どうりの残雪量。

快晴の一ノ倉沢


快適に雪渓を詰めテールリッジ末端へ。
雲一つ無い快晴に心躍るものの、樹林が無く岩肌がむき出しになったテールリッジの登高は大汗を余儀なくされ中央稜取り付きの大テラスへ到着。

圧巻の衝立岩 今後の課題に目視でラインを引く



大テラスにて最終準備を整え本日の目的である烏帽子沢奥壁 中央カンテの取り付きへ足を進め登攀開始。

中央カンテ取り付きにて 興奮、緊張、談笑と個々に思いは様々



本日メンバーが4人の為、2パーティー編成。登攀開始時は快晴の予報通りだったが、午後からは下り坂の為スピード重視で登攀開始。

【登攀開始】( )は個人的な、体感グレード スケル
1P (Ⅲ⁺ 40m) バンドをトラバースした後草付のルンゼを左上気味に抜ける。前日降雨が有った為か岩、草付は濡れていて神経を使うピッチだった。

1P トラバースから登攀開始 前日の降雨より嫌らしいピッチ



2P (Ⅲ 50m) 浅いルンゼ状のフェースを左上気味に高度を上げる。傾斜は緩いが浮石が多くランナーは殆ど無い為、慎重に高度を上げる
3P  (Ⅳ 40m) 左上するバンドよりカンテまで抜けた後カンテ伝いに高度を上げる。出だしの左上バンドが濡れていて非常に嫌らしく感じた。
4P (Ⅲ 50m) カンテを直上し小垂璧を左から乗越し更に頭上に有る大岩を左から回り込みルンゼ状へ抜ける。途中2か所終了点が有ったがチムニー直下まで伸ばす。
5P (Ⅳ 30m) 短いルンゼ状を詰めチムニーへ取り付く。内面登攀というよりは体を外に出しステミングで豪快に抜ける。スタンスホールドは豊富に有るがランナーが取りにくい。岩が安定し快適なピッチ

5P チムニーの登攀 体を外に出し豪快にリードするOtake 



6P (Ⅲ 35m) フェースを左上しカンテより右上 岩が脆い上にランナウトしグレード以上に緊張を強いられる
7P (Ⅴ 40m) ルート上の核心ピッチ。下部垂璧、上部コーナークラックと気が抜けないピッチ。下部上部との間にレッジが有り残置にてピッチを切ることも可だが繋げて抜ける。上部コーナークラックはカムが有効。
8P (Ⅳ 35m) トポには四畳半テラスと記載されていたが半畳にも満たない縮小さなたテラスより階段状のスラブを上がり左上し凹角より高度を上げる
凹角と言っても登攀するラインはカンテ状にラインを引く様に感じる
9P (Ⅳ 50m) 易しい草付から高度を上げ上部は徐々に立って来る凹状を抜けバンドより烏帽子岩基部(終了点)へ突き上げる。終了点は一枚岩の大テラス。スリングが多数巻かれていて明瞭。 (色々な文献が有る為 ピッチの切り方が様々 実際、途中に終了点残置は所々に有る為短くピッチ切る可)

9P 終了点直下 疲労の蓄積も有り思いの外悪く感じるピッチ

【烏帽子の肩より下降】
35m 終了点の反対側よりいきなり空中懸垂。

下降は空中懸垂から 高度感が尋常では無い



50m連結にて懸垂そのまま笹薮上部の残置まで下降
笹薮と岩壁の基部沿いに右岸へ向かいトラバースした後、下部に伸びる踏み跡を辿ると南稜下降点へ到着。
【南稜(6ルンゼ)下降】
南稜終了点より50m連結にて4回の懸垂にて南稜テラスへ到着。

梅雨直前にて貴重な晴れ間にちっぽけな人間が懐の広い山に向き合うことが出来、非常に楽しめた山行となりました。

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