錫杖岳 左方カンテ

2021年7月25日  メンバーたぬき Genki Gen

天候 小雨のち曇り時々晴れ

梅雨が明け盛夏を迎え本格的な無雪期アルパインのシーズン到来とともに錫杖岳 前衛壁左方カンテに岩を楽しみに行ってきました。
錫杖岳へは自宅から300キロ以上のアクセス。色々な山域に足を延ばしているものの、夜行日帰りにて片道300オバーのアクセスは苦を伴う。しかし登攀したいと思いを抱くととアクセスの苦は感じなくなるのは山屋の性か。
早朝、日の出と共にアプローチ開始。天気予報によると終日快晴の予報だったが、周囲が明るくなりだすにつれ上空には分厚い雲が広がるのが確認できる。当たり所の無い気持ちを抑えアプローチ開始。
分厚い雲に朝日が遮られ、さらに朝霧に包まれた樹林帯は鬱蒼とした雰囲気をかもしだし取り付き敗退が脳裏をかすめる中、黙々と足を進め一般道離脱地点まで。
錫杖沢出合にて一旦樹林帯から出ると朝霧と思っていた濃いガスは遮る樹林が無いと小雨と化し体を濡らす。
この時点にてアプローチ敗退が濃厚になるも、蜘蛛の糸にすがる思いにて取り付きまで明瞭に踏まれたクライマー道を詰めます。
徐々に高度を上げるにつれ急激に天候は回復傾向に明転し更に取り付きにて確認できる岩は湿気を帯びているも、登攀可能な状態。 ゆっくり準備を整える中、時折盛夏の強烈な日差しを浴びた岩は急激に乾き始め登攀開始

城塞の様に浮かぶ錫杖岳 前衛壁(下山時の写真を引用)

( )内は個人的な体感 スケル
1P(Ⅲ⁺ 40m) ルンゼにラインを取る。倒木、草付とスッキリしないライン。先行がいたためハンガーの有る終了点ちょかの立木にてピッチを切る

1P 顕著なルンゼより登攀開始 敗退濃厚から一転登攀できる喜びとともに離陸


2P(Ⅳ 40m) ルンゼを辿るが下部と違い岩は安定しスッキリしたラインを辿る。上部が垂壁となり思いのほか悪い。ピナクル直下のハンガーにてピッチを切る。
3P(Ⅴ 20m) 下部核心ピッチ。スラブ状のフェースを右上し高度を上げる。出だしのスラブから薄被りを乗り越す箇所が核心。乗り越す箇所の上部のガバを取れば終わりだが、初見では神経をすり減らす。ボルダームーブ。 20m程で下部核心は抜けハンガーの終了点にてピッチを切る。

3P 下部核心ピッチ 数手だがボルダームーブで初見にては緊張を強いられる


4P (Ⅰ 15m)歩き
5P(Ⅳ 30m)顕著なチムニーを辿る。ホールドスタンスは豊富だがザックを背負うと非常に難儀するピッチ

5P 顕著なチムニーの登攀 内面が濡れていて嫌らしい

6P(Ⅳ⁺ 40m) チムニーから離陸しフェースへ移る。立ったフェースだがホールドスタンスは豊富。しかし下部は異常なほどランナウト。下部フェースを処理すれば上部は快適なカンテを辿り大テラスへ。ハンガーにてピッチを切る。

6P 出だしがランナウト リードもビレイヤーも緊張を強いられる


7P(Ⅴ、A0 40m) 出だし上部に在るCSまでの処理が核心、A0で抜ける。CSから上部はチムニーを辿りバックアンドフットなど屈指しながらチムニーを抜けた後、左のフェースへ走るクラック伝いにラインを移し高度を上げると上部はスラブ。変化に富んだピッチで楽しい。ハンガーにてピッチを切る。

7P ルート上の核心ピッチ チムニー、クラック、スラブと変化に富んだ楽しいピッチ

上部にはスラブのルートが有るがブッシュが多く快適そうでは無いため、此処で登攀終了とし下降に向かう。周囲を見わたすと日本離れした景観が広がる。写真、映像にては味わえない景観に余韻を残し左方カンテの裏に位置する注文へ懸垂し取り付きへ戻りました。

懸垂にて注文の多い料理店を下降

ラインはNP主体ですが各終了点はハンガーが打たれ、テラスもしっかり有るので安心した登攀を楽しむ事が出来ました。

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