荒船山艫岩 昇天の氷柱

2022年2月11日 メンバー たぬき GEN HODA

天候 晴れ時々曇り

昨シーズン登攀した昇天の氷柱。4Pと短いものの各ピッチ変化に富み非常に楽しむ事が出来た。
今シーズン、ネット上に上がる画像には昨年と違った氷の付き方を目にする。ルートは同じでも氷の付き方が変化すれば新たな新鮮さを楽しむ事へ期待し、冬季アルパインを楽しみに昇天の氷柱へ行ってきました。
登攀日前日、関東平野に大雪注意報が出された。山間部は間違いなく大雪に見舞われる事は確信したも、登攀日は晴れ予報。山間の形状より雪崩のリスクは少ない為、決行し早朝、アプローチ開始地点である荒船山登山口へ到着。駐車場までは除雪がされスムーズにアクセス出来たが、駐車スペースは除雪されず隅の方に駐車しアプローチ開始。
3連休初日とも有って、別パーティーやハイカーの先行を予想していたが先行はいなくアプローチ開始よりラッセル。思いの外、雪は深く膝下のラッセルを続け一般道離脱地点の一杯水の標識へ。  此処まで霧氷が美しく、膝下のラッセルとは言え乾雪の為、苦ではなかった。久々に雪山ハイクの楽しさを感じつつ目的である昇天の氷柱へ艫岩基部をトラバース。

霧氷と艫岩

此処から緊張が入り乱れる。積雪も深まり場所によっては股下まで埋まる。 無駄な体力の消耗と共に取り付きへ到着。
想定していた以上の積雪だった。現に取り付きより望む1P目の氷のセクションは氷壁に着雪が多く有る事から、上部ミックスセクションは奮闘的な登攀が予想されるのは確実と実感した。山屋としてか、取り付き敗退は無い!
準備を整え登攀開始。( )内は個人的な体感グレード スケル
1P(Ⅴ⁻ 40m)
氷は発達していた。80°程の傾斜なので所々着雪が有る。着雪の為スタンスの置き場に難儀しながら、高度を上げる。傾斜は緩いが思いの他、氷質が悪くガサ氷だったため慎重に高度を上げ上部洞穴直下へ。氷が発達しているのでそのままの直上は不可な為左のチムニーへラインを移す。バックアンドフットでジワジワ高度を上げ終了点である立木まで。

1P 氷のセクション
弱点の右のラインを選ぶもガサ氷で悪い

2P(Ⅳ⁻ 35m)
段々の短い氷壁を処理し上部暖斜面に。暖斜面とは言え、積雪が多く足元は氷床の為気は抜けない。  スクリュー2本にて支点構造。

2P 短い氷を登れば上部は暖斜面

3P(Ⅴ 35m)
例年の記録からすると殆どがミックスのセクションだったが今シーズンは完全な氷のセクションだった。丁寧に氷にスタンス ホールドを求めるもこの区間もガサ氷の為緊張を強いられる。救いは右岸壁に打たれたハンガーが露出していた為、安心して突っ込めた。 傘直下10m程の氷床にてスクリュー2本で支点構造

3P 氷は発達していたがガサ氷で悪い

4P(Ⅴ 35m)
本来傘越えが核心区間だろうが、今シーズンは傘は発達していなかった。更に左岸にはベルクラも無く右岸の屑氷を頼りに高度を上げる。

3P終了点より
振り返ればニードルが美しい

スタンスはドライ、ホールドは屑氷に決めたアックスを頼りに慎重に抜けた。 そのまま行けばルンゼ状を詰め上部立木帯へ抜けるが、雪崩のリスクを考え左寄りの斜面より抜け登攀終了。

4P 核心の傘越えは無かった 岩にスタンスを拾い慎重に抜ける

多降雪直後の登攀とも有って奮闘できる登攀を楽しむ事が出来ました。
冬季アルパインは気象条件、氷質によって全くルート状況が変化するので登攀を行う度に新鮮さを感じ楽しいと実感。

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