横岳西壁 裏同心ルンゼ~大同心正面壁雲稜ルート

2022年12月7日  メンバーたぬき 他1名

天候 ガス時々晴れ

本格的なアルパインシーズンに入ったものの、事前から得ていた天気予報の長期予報の情報とは裏腹に冷え込みは弱い。
例年ならこの時期、八ヶ岳の良好な氷の情報が上がるが、今シーズンは氷結不良の情報を多く目にし不安を抱く。しかし直近にて今シーズン初の寒波が到来した事により氷の発達に若干の期待を込め八ヶ岳へアイス初めに行ってきました。
せっかく八ヶ岳まで足を伸ばした為、氷初めからドライへ、大同心正面壁雲稜ルートへ継続する計画。 勢力的な姿勢と言うより貧乏根性は山屋アルアルか。
早朝、日の出前より美濃戸よりアプローチ開始。ヘッデンの明かりを頼りに通い慣れた北沢より赤岳鉱泉を目指します。
事前の情報とは異なり美濃戸より薄っすらと積雪が有り、直近で降雪があった模様。
壁に着雪の不安がよぎるも、順調に足を進め鉱泉着。
鉱泉から望む横岳西壁はガスに覆われ大同心へ継続登攀が危ぶまれる感じが有ったが、稜上へ出てからの現地判断。 目的である氷始めに裏同心ルンゼへ足を進め取り付きへ。
取り付きから望むF1は思いの他育ち登攀には問題なく、上部に存在する氷瀑へにも期待を持てる感じだった。

F3 登攀には問題なく育つ

準備を整え登攀開始。【裏同心ルンゼ】フリーでも問題ないが氷始めと言う事もあり、コンテにて高度を上げる。上部へ高度を上げるに連れ氷の質は良くなって行くように感じた。最後のF5は短いながら若干立ち、ランニングの弾切れと有ってスタカットに切り替え裏同心を抜ける。

F5 快適なアイスを楽しむ

氷始めには快適なアイスを楽しめた。裏同心を抜け上部を見上げると稜上は相変わらずガスで覆われる。時折ガスの切れ間から顔を出す大同心の岩壁は氷雪で真っ白に覆われ、大同心への継続登攀は厳しい登攀を強いられる事は間違いなかった。
ガレを詰め、大同心基部までロープを引きずり進み雲稜ルート取り付きへ。

雲稜ルート取り付きへ
岩壁は氷雪に覆われ巨大な氷壁と化していた

ドライ装備に切り替え登攀開始 ( )内は個人的な体感、スケル
【大同心正面壁 雲稜ルート】
1P(Ⅳ A1 25m)
フェースから高度を上げる。出だし若干ランナウトするので緊張。中間部の薄被りの処理にて2手程人工を使い抜ける。途中古い終了点が有るが見送り右上気味に高度を上げテラスにて切る

雲稜ルート 1P
序盤の核心ピッチ

2P(Ⅴ⁻ 25m)
草付混じりのフェースから高度を上げる。途中二手のラインが取れる。凹角か凹角を左に回り込むか。凹角はランぺ状な為ドライでは難儀しそうだったので後者を選択。
ラインが屈曲するのでランナーの取り方には注意が必要だった。凹角脇を通過し右上気味に高度を上げれば草付基部のテラスへ

2P 草付と岩のミックス
で悪い

3P(Ⅳ⁺ 25m)
上部に見える魚の尾ひれの様なピナクル目指し高度を上げる。 出だしは終了点の左上の草付から。草付と有ってランナーは取れない。凍った草付にアックスを打ち込み慎重に抜け、上部凹角へ。凹角は短いが着雪が多く神経を使う。上部トラバース地点までロープを延ばした方がロープがスタックした為、尾びれピナクル脇のRCC二本で切る

3P 氷雪に覆われた草付から上部ピナクル目指す

4P (Ⅳ⁺ 25m)
立ったコーナーへラインを取る。見た目は難儀しそうだが残置は豊富でホールドスタンスも有った。 コーナーを抜け右上に高度を上げトラバース地点直下にて右に草付をトラバース気味に進む。この区間の処理が悪かった。

4P 凹角の処理
上部の草付が嫌らしかった

5P(Ⅲ 10m)
バンドのトラバース。途中出でぱった岩の通過だけ慎重に

5P トラバース
中間部に出っ張った岩が有り嫌らしい

6P(Ⅴ⁻ A1 25m)
巨大カンテの登攀。フェースから高度を上げ中間部よりカンテにラインを移しボルトラダー。当初はフリーで抜けたい考えが有ったが、着雪が酷くフリーの考えは皆無。
カンテに移ってからは高度感が凄まじい。カンテを抜ければ大同心の頭に突き上げ登攀終了

6P 巨大カンテの登攀
高度感が凄まじい

下降は大同心の頭より50m一本で懸垂し大同心稜へ進路を取り下山。
快適なアイスから厳しい氷雪壁へ対照的な2本のルートを継続登攀出来、非常に充実した山行となりました。

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