明星山 P6南壁フリースピリッツ

2025年11月8日 メンバー:たぬき夫妻

天候 快晴

11月に入り立冬を迎え暦の上では冬の到来。平野部では未だ晩秋の雰囲気が有るが高峰の峰々は既に冠雪し角隠しを被ったようだ。
振り返れば、今シーズン無雪期アルパインは散々だった。天候と日程の折り合いが付かず山行計画は軒並み中止に追いやられた。
強引に行ってみればコンディションが悪く敗退の連発。萎える。山屋と自負している身としてはゲレンデ通いは切なかった。
気持ち良く無雪期アルパイン納めをしたい。そうなれば選択肢は一択になる。
明星山だ。自宅からアクセスは非常に遠いが400mオーバーの大岩壁は足を延ばす価値は有るだろう。と言うわけで例年恒例になりつつ有る無雪期アルパイン納めに明星山へ岩を楽しみに行ってきました。
今回は明星でも一番人気が有るであろうフリースピリッツへ。過去2回登攀しているが弱点を巧みに付き高度を上げて行くライン取りには何度挑んでも飽きない。個人的には過剰な表現かもしれないが日本を代表しても良いルートに感じる。

早朝日の出前より準備をするが、既に2パーティーが先行。普段、平日山行に慣れている為取り付き一番の感覚が鈍い。
毎年変わる踏み跡を辿り小滝川へ。今シーズンの踏み跡は直線的で急だった。
フリスピへの取り付きへは小滝川を少し下りチロリアンなどし渡るのが定説となっているが小滝川へ降り立った地点よりそのまま対岸に渡渉する事が無難だ。渡渉し左岸を歩き取り付きへ。

2パーティー先行。必然として渋滞発生。恐らく中央バンドへ到達するまでに2時間半程ロスしただろう。やるせない。途中何度も敗退しようかと考えたが無雪期アルパイン納めで敗退すれば来期に影響する事は確定だった。絶対トップアウトする。
幸いにも途中でトップを譲って貰うが中央バンドにて既に正午を回っていた。
明るい内に下降路を処理したい気持ちからトップギアへ切り替え14時半にトップアウト。
下降路には頻繁にテープが有り、トラロープも設置されていた。整備された方に感謝。
今シーズンの無雪期アルパインは散々だったが、終わり良ければすべて良しで〆よう。

【P6南壁フリースピリッツ】 ( )内は個人的な体感グレード スケル (トポにはデジマル表記されているが個人的にアルパイングレードの方が良い様に感じた為ピッチグレードを変更記載)

1P(Ⅲ 40m)
草付交じりのバンドを左上。泥が付き非常に悪く感じた

1P バンドを左上 容易だがランナウトが凄まじいので緊張の離陸

2P(Ⅳ⁻ 20m)
出だし3m程の垂壁を乗り越しバンド状を左上。垂壁の処理が若干悪く感じた。

2P 出だしの垂壁の処理が若干悪い

3P(Ⅳ⁺ 30m)
フレーク状にラインを取り右上気味に高度を上げる。出だしが悪く感じた。

3P フレークを処理し直上 此処からフリーの要素が高くなる
フレークを処理しながら高度を上げるフォロー

4P(Ⅴ⁻ 30m)
凹状を少し登りスラブを下りトラバース、非常に緊張する。トラバース後は簡単なバンドを右上しハング下まで。

4P この後スラブをクライムダウンが悪い

5P(Ⅴ⁻ 20m)
左上するハングの下をハングに沿って左上しチムニー直下まで。

5P ハング帯に沿って左上
フォローを迎え入れる 徐々に高度感が出てきて気持ち良い

6P(Ⅴ 15m)
目前のウメボシ岩を乗越しスラブを下り気味にトラバース。トラバース区間が非常に嫌らしい。

6P ウメボシ岩をボルダームーブで処理すればトラバース この後のクライムダウンが非常に悪い

7P(Ⅴ 30m)
頭上のフレークを越え右上に見えるカンテを越えフェースを直上。カンテまでの垂壁が悪くかんじた

7P 右上スカイラインのカンテを越えるようラインを延ばす

8P(Ⅴ⁻ 40m)
ハングの切れ目にラインを取り階段状のスラブを直上

8P ハングの切れ目へラインを取る

9P(Ⅴ 30m)
カンテの左裏に有る凹角へラインを取る。クラック伝いに登る為ホールドは少なくジャムを屈指しながら高度を上げる。凹角を抜ければガレを詰めブッシュ帯へ

9P ナイフ状のカンテ裏から ようやくこの時点で先行を譲って貰えた 大分時間をロスした

10P(Ⅱ 20m)
ルンゼ状のガレを渡り対岸の壁まで
11P(Ⅳ 50m)
右上するバンドを詰める。ランナウトし思いのほか嫌らしいピッチだった。此処にきて初めてのラペルステーションにて切る

11P バンドの処理 意外と悪い

12P(Ⅳ⁺ 35m)
トポにはカンテ右の垂璧~バンドを右上と記載されるが、ラペルステーションから直上し中間部より左上するのが正解に感じた。

12P 浅い凹角の処理 上部の鷹ノ巣ハングからの威圧が凄まじい

13P(Ⅳ 20m)
高度感満点のトラバース

13P パノラマトラバース 高度感が尋常では無い 感覚がバグり高揚感一択となる気持ちの良いピッチ

14P(Ⅴ⁺ 40m)
凹状のスラブからカンテを越えれば暖斜面へ突入。出だしの凹状が思いのほか嫌らしく感じた

14P ランぺ状の浅い凹角の処理 フリーの要素が高いが終盤では悪く感じる

15P(Ⅲ 40m)
ブッシュ帯を上部のスカイライン目指し左上。左上部に有る松の木基部にてピッチを切れば登攀終了。

下山は頻繁に現れるテープに導かれ西面下降路へ。分かり難い踏み跡とテープに導かれ高度を下げる。今シーズンは頻繁にテープがつけられ途中からトラロープも設置され迷う心配は少なかった。 整備された方に感謝。

南壁正面壁を岩の弱点を突きながらルーファイを屈指しながら、NP主体で登攀するロングルートは登りごたえ有る好ルートでした。

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