横岳西璧 大同心正面壁 雲稜ルート

2021年3月26日  メンバーたぬき夫妻

天候 高曇り

平野部では既に桜の開花宣言から満開宣言に切り替わり淡い色の花々が息吹き、河川に目を移せば菜花の黄が映え暖色に包まれ春爛漫の様相だが、高峰の峰々は未だモノクロ色が強い世界が広がり春の訪れはもう少し先になるであろう中、恐らく今シーズン登り納めであろう冬壁を楽しみに八ヶ岳 西面へ行ってきました。
今回目指すルートは大同心正面壁、冬壁全体に言えるが気象条件により難易度が変化する為、前日の天気予報ではあまり良くない予報が出されていた事に若干の不安と立派に冬壁に育ってくれる期待が入り混じる中、日の出前よりアプローチ開始。
通いなれた林道を辿るがこの時期ならではか、出だしより氷化した氷床に慎重に足を置き鉱泉を目指します。
鉱泉に到着するころにはすっかり日が昇り西面のまだら模様の岩壁が広がり、本日の目的である大同心に目を移すと完全なドライ。冬壁とすると期待外れだが心中、安堵する事に自分への不甲斐なさに葛藤を抱きながらも登攀へ気持ちを切り替え集中し直し大同心稜を詰めます。
急登に喘ぎながら高度を上げ取り付きへ。
天気予報では快晴だが20mを超す強風の予報。  天候は予想を裏切り高曇り。強風は的中。若干だがゆとりクライミングで無い事に自負し準備を整え登攀開始。
( )内は個人的な体感グレード スケル )内は個人的な体感
1P(Ⅳ⁺ A1 30m) いきなりルート上の核心ピッチから始まる。壁は完全なドライ。垂直のフェースより頭上のハング目指し高度を上げる。1ピン目ランナウトするが以降は残置は豊富に有る。
核心のハングは人工で抜けるが、慣れないアイゼンでのアブミの操作にもたつく。

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1P 頭上のハングを目指し高度を上げる

2P(Ⅳ A1 25m)浅い凹角より高度を上げ中間部にてツルっとした岩壁で一手、人口にて通過した後、カンテ状へラインを取りカンテ状を抜けると徐々に草付が現れだす

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2P 浅い凹角より

3P(Ⅳ 50m)下部に比べれば傾斜は落ちるがミックスの登攀となり悪い。出だしラインは左右に取れるが右方を選択。ルーファイミスの為かランナウトし非常に悪く感じた。草付にアックスを打ち込み慎重に高度を上げる。残置が少なくNPでランナーを取りながら上部に聳える特徴的なピナクル目指し高度を上げる。ピナクルを通過し更に頭上の凹角を抜けドーム直下までロープを延ばす。
《参考にしたトポによると35m 25m 20mと3P 計80mのスケル表示となっていたが実際は50mいっぱいでバンドまでロープを延ばすことが出来た》
4P(Ⅲ 20m)明瞭な右に伸びるバンドのトラバース。技術的には問題無いが中間部にて張り出した岩にて体をのけ反るムーブが面白い。

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4P 高度感有るトラバース

5P(Ⅳ⁺ A1 25m)巨大なカンテの登攀。出だしは左のフェースより高度を上げる。中間部よりカンテへラインを移し人工に切り替える。高度2700地点のカンテの登攀は高度感が尋常では無く気持ち良い。上部のスカイライン目指しボルトラダーにて抜けるが風を遮る物の無い人工の登攀はアブミが流され上手く乗れず難儀しながら高度を上げると大同心の頭へ突き上げ登攀終了。

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5P 巨大カンテの登攀は高度感が尋常では無い

壁はドライだったが強風、高曇りの中 冬壁を楽しめる山行となりました。 いずれは海老が育った氷雪壁を目標に。

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