足尾ウメコバ沢 チャンピオン岩稜

2022年4月17日  メンバーHODA たぬき

天候 晴れ

通い慣れた足尾 ウメコバ沢。毎回、足を運ぶのはウメコバ沢の象徴的な岩峰である中央岩峰だった。
登攀中やトップに立つ度、振り返れば対岸に伸びるチャンピオン岩峰が常に印象的だったが、取り付きの不明瞭さや登攀スケルの長さ、下降の手間を考えると懸念し機会を先送りしていた。
しかし、ようやく絶対的に信頼出来るパートナーに恵まれ今までの課題であったチャンピオン岩稜へ久々の岩を楽しみに行ってきました。

銅親水公園よりアプローチ開始。通い慣れた水平道を辿り足尾の顔で有るジャンダルムに挨拶をし、幕岩を横目に足尾の核でも有ろうウメコバ沢へ足を進めます。
松木沢の渡渉は春の雪解けと有って、水量は多くパンツを脱ぎ膝の渡渉。アプローチで火照った体には水線が体に突き刺さる感覚だった。
日が当たらず鬱蒼とするウメコバ沢出合よりF1、F2を高巻く。
TKが整備しハンガーが打たれ非常に安心出来るアプローチだった。
明るく開けた沢を詰めチャンピオン岩稜の取り付きへ足を運ぶ。
中央岩峰から望むチャンピオン岩稜は明瞭だが、いざ取り付こうとすると非常に解りずらかった。
取り付きの目印としては、チコちゃんルートの反対に有るルンゼ。

チャンピオン岩峰取り付き ルンゼを詰めジャンクションピーク基部まで

トポにはジャンクションピーク目指しリッジを詰め高度を上げるように記載されていたが、今回はルンゼを詰めジャンクションピークまで高度を上げる。ルンゼの登攀は所々悪いが時短の為フリーで抜け、ジャンクションピークより一旦20mほど下るとR7の1ルンゼ2ルンゼの合流点へ出る。
1,2ルンゼの合流点から間に伸びるラインがチャンピオン岩稜。取り付きはブッシュが生い茂り不明瞭だったがトポを見るに、地形は合点。

振り返れば中央岩峰が美しい

準備を整え登攀開始。 ( )は個人的な体感グレード ロープスケル

1P(Ⅲ 30m)
何処でも登れそうな暖斜面のフェースから高度を上げる。易しいがブッシュが非常にうるさい。安定したテラスにてスリングでピッチを切る。

1P ブッシュがうるさい

2P(Ⅳ 40m)
出だしより一旦左寄りに高度を上げフェース状へ移り高度を上げる。
3P(Ⅴ 40m)
トポには凹角左のフェースとなっていたが真正面の凹角へ進路を取る。スタンスホールドは豊富だったがバックアンドスッテプ気味で登るにはサブザックを背負っての登攀は難儀した。

3P 顕著な凹角にラインを取る

4P(Ⅳ 40m)
リッジに沿い巨大な岩峰を処理してゆく。高度を上げるにつれ浮石が多くなり非常に神経を使う。

4P 岩稜伝いに高度を上げる

5P(Ⅳ 40m)
ラインは左右に選べるようだが(左はフェース)、明らかに弱点で有る右の凹角へラインを取る。  凹角を抜ければ若干の歩き。

5P ラインは左右に取れるが右を選択

6P(Ⅵ 40m)
ビレイ点よりギャップ気味に一旦下がり核心へ突入。出だしのハング越えが核心。
ハング下にハンガーが一つだけ打たれていた為豪快に抜けるが、ホールドスタンス共に非常に悪い。
核心は約20メートルほどで通過出来るが更にロープを延ばし7P前半のⅤ⁻を抜ける。

6P ルート上の核心ピッチ 出だしのハングを豪快に超える

7P(Ⅲ? 40m)
上部スカイライン目指し高度を上げる。非常に岩質が悪く浮石というより岩が積み重なっている状態。70~100㍑程の岩が常に積み重なる状態だった。

事実上の登攀終了点。此処から3p程、不安定な岩稜をトラバース気味に進み下降地点であるR7 2ルンゼへ進路を取る。
2ルンゼはチャンピオン岩稜と並行しており、仮に敗退時は支点が確保できれば容易に下降できると感じた。

下降はガレたR72ルンゼへ

懸垂4回とクライムダウンを交え取り付きまで戻る。此処からは2ルンゼへ下降をし2Pの懸垂にてウメコバ沢へ降り立つ。

足尾山塊は日本離れした光景が連なっている。ジャンから始まり幕岩、ウメコバ沢と足を進める程、岩が大きくなり山屋には魅力的だ。
今回初めて足を運んだチャンピオン岩稜から望む光景は、今まで足尾に通い慣れた私にとっても素晴らしい光景に感じた。まるで滝谷を切り取った光景の様に感じ感動。
硬い岩に慣れたクライマーに取っては非常に悪いと感じ酷評するであろう。しかし残置は無くNPメインで登攀するチャンピオン岩稜は残置を追う様なゆとりクライムと異なり、新鮮な感覚にて登攀を楽しむ事が出来ました。
今後、多くのクライマーを迎え共感出来ればと思う。

ads
最新情報をチェックしよう!