谷川岳 一ノ倉沢烏帽子沢奥壁 南稜フランケ

2022年5月25日  メンバーたぬき夫妻 TK

天候 終日快晴

梅雨入りを目前にして一ノ倉沢出合までの林道が開通し谷川岳、登攀解禁の合図の号令が上がる中、貴重な好天に恵まれ一ノ倉沢へ岩を楽しみに行ってきました。
今回目指すルートは南稜フランケ。
烏帽子沢奥壁の中では最も傾斜の強い岩壁に引かれたラインの1本で有り、又ガイドブックには不安をよぎらせる文面が記載され、今まで懸念していたルートだったが一ノ倉沢へ足を運ぶ度、眺める垂壁には魅力を感じていた。
上記の事より登攀には不安は有るも、やはり山屋としては魅力を感じた岩壁は登りたい。
そして谷川登攀を思うと次はフランケにラインを引きたいという思いが常に有り、その思いを現実にする為フランケ側では入門的な存在である南稜フランケに行ってきました。
日の出前よりベースプラザからアプローチ開始。夜明け前の薄明りの闇と、久しぶりの山行からの寝不足から足取りが重い。
舗装された林道を辿るに連れすっかり日が昇り、マチガ沢を横目に一ノ倉沢出合まで。
徐々に日が昇りモノクロからカラーに変化する。山肌に所々残る残雪の白が新緑の緑を引き立てアプローチ開始時の重い足取りは軽快に変わり快適に一ノ倉沢出合まで。

出会いの雪渓は近々の年の積雪よりは多く感じたが、本来ならこの積雪量が普通だろう。

一ノ倉沢出合の雪渓 久々に多かった

モルゲンに染まる岩壁の中取り付きまでテールリッジを詰めアプローチ。灼熱のテールリッジも出だしが早かった為、大汗を掻かずに高度を上げ取り付きへ。登攀準備は少し上の南稜テラスで済ませ再び南稜フランケ取り付きへ戻り登攀開始。

烏帽子沢奥壁フランケ
垂壁が登攀意欲を引き立てる

( )内は個人的な体感グレード ロープスケル
【南稜フランケ】
1P(Ⅴ 30m)
鎌形ハングの右端より右上し高度を上げる。出だしのⅤは非常に悪く感じ更に全体的に外径した岩壁に緊張を強いられる。更にNPやハーケンを打てるリスが無く出だしとしては非常に緊張を強いられた。

1P 出だしよりⅤ級ピッチは緊張を強いられながら離陸

2P(Ⅴ 30m)
トポより左に派生する草付に導かれ出だしは左上するが直ぐにスッキリしたフェースにラインを取り直上する。ルーファイミスかこのピッチもランナーが取れず外径した岩壁に痺れる。終了点はハング直下まで

2P 岩は外傾しランナウト 神経をすり減らす

3P(Ⅴ⁺ 40m)
ハング下を5m程トラバースしてからカンテを越へフェースを右上。カンテを越えてからはカチホールドスタンスの非常に悪いフェース。トポには直上と記載されるが右上していく為足運びが重要に感じた。所々#0.75までのNPが決まる個所が有った。下部1.2Pと異なり外径はしていないが終始カチルート。

3P 核心ピッチ
ハングを右上しフェースへ ランナウトが凄まじい

4P(Ⅴ⁺ 40m)
出だしは左上するのが正解だろうが頭上に見える残置目指し(残置はYCCルートに引き込まれた感じ)5m程直上しルート修正し非常に悪い草付バンドをトラバース。明らかにルーファイミスだった。その後は軌道修正し左のカンテというよりスカイライン目指しラインを取りフェース」を直上。後半は快適だがランナウト

4P 出だしルーファイに苦戦 草付が混じり非常に悪いピッチ

5P(Ⅴ 45m)
左上には弱点に見える草付のバンドが有るがこれは南稜フランケダイレクトの様な為却下。
フェースを直上し正規ルートで有ろうラインへ高度を上げる。草付混じりの登攀な為、下部のグレードと同じ位の体感に感じた。上部にて馬の背へ抜ける前、左上する草付バンドが現れる。バンドを左上すればテラスに直結するように感じたが、今回は上部悪い草付を乗り越し南稜 馬の背の中間部へ合流。  事実上の南稜フランケ終了点。

5P 上部スカイライン目指し高度を上げる

6,7P(南稜)
多くの情報が上がる為、割愛。

南稜へ合流し最終ピッチ

終了点より笑顔の一枚

ショートルートながらピリッと辛い登攀を楽しめた。まんざらでも無いガイドブックのコメントには共感。確かにランナウト必須で墜落はNGに感じた。
ただ登攀中の不安は何なんだろう。今、こうしてキーボードを叩いていると楽しさしか思い出せない。

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