明星山 P6南壁直上ルート

2022年10月27日   メンバーたぬき夫妻

天候 終日快晴

晩秋に入り山行直前には強い寒気が入った。 高峰の峰々は徐々に冬支度をする様に白い衣を羽織りだす。
しかし、標高の低い山々は燃える様に山肌を彩り冬を拒絶している様に感じる中、無雪期アルパインも終盤に差し掛かり、晩秋に訪れる事が毎年恒例化となりそうな明星山へ岩を楽しみに行ってきました。
早朝、すっかり明るくなってからアプローチ開始。展望台駐車場から望む明星山の大岩壁は幾度となく見ても圧巻の一言。更に暖色に染まる山肌に石灰岩の巨大な白い山塊が引き立つ様は、見る者にとっては栄える光景だろうが、登攀する者にとっては威圧の重圧を感じる。

アプローチ開始。登攀を控えての大岩壁は威圧を受ける

駐車場より踏み跡を辿り小滝川へ下降。毎年踏み跡のラインが変わるように感じるが、踏み跡は明瞭な為すんなり小滝川へ。
今回の登攀ルートはP6南壁直上ルート。
持参したトポにも大雑把なライン、コメントしか記載されずネットで検索しても情報が少なかった。
情報の少なさから登攀には不安は有ったが初登者の功績を考えれば、情報の溢れる現代、ゆとりクライマーとしては少々の情報が有るだけでも有難い。

小滝川へへ降り立ち登攀ルートをオブザべ

【取り付き】
アプローチから小滝川へ降り立ち真正面の岩壁。左岩稜とフリスピの取り付きの中間地点に感じた。目印は台形状のスラブ(分かりにくい)だが5m程上にRCCが有る

【P6南壁直上ルート】( )内は個人的な体感グレード、スケル
1P(10a 25m)
出だしから非常に悪い。スラブを右上気味に進み中間部より浅い凹角に進路を取る。浅い凹角は非常に岩が脆く神経を使う。残置はそれなりに有り、終了点はハンガー2本、リング2本

1P 出だしより非常に悪い スラブを右上し浅い凹角へ
凹角は非常に岩が脆い

2P(Ⅴ 15m)
離陸が非常に悪い。左足のスタンスが無く離陸に戸惑うがホールドはガバな為離陸すれば問題なし。高度感あるトラバースし左上気味に高度を上げる

2P 離陸が非常に悪い
高度感あるトラバース

3P(10a 25m)
このピッチも出だしが核心。薄被りの垂壁を乗り越す。ハンガーが2本有り、安心出来るが体感的に非常に悪くA0で抜ける。垂壁を越えると草付を右上し浅い凹角にラインを移し高度を上げる。

3P ルート上の核心ピッチ 出だしは悪いが数手のみ 1Pの方が悪く感じた

4P(Ⅳ⁻ 40m)
ブッシュが目立つ浅い凹角を辿る。残置ハーケン3本で切る。あと10m弱延ばせば左フェースルートへ合流出来たと思う(ラインはほぼ直上した)

4P 浅い凹角を直上 徐々にブッシュが目立ち始める

5P(Ⅲ⁺ 45m)
右上するスッキリするラインは左フェースルート。
直上オリジナルにラインを取る。ブッシュが多く悪い。何処でもラインを引けそうなのでルーファイには非常に神経を使う。終了点と思われる残置が有ったが、残置スリングが巻き、終了点を作成出来なかった為、上部の松の木で切る

5P 左フェースルートへ合流するがラインは直上オリジナルへ

6P(Ⅲ⁺ 45m)
樹林帯の登攀。殆ど木登りだが悪い。樹林帯なので当たり前なのだが残置が皆無だった。(ラインは直上)

6P 樹林帯へ突っ込み木登り

7P(Ⅲ 40m)
ブッシュと露岩が入り組む。
8P(Ⅲ 50m)
露岩とブッシュを処理すれば左岩稜ルートの大岩に合流

左岩稜最終ピッチ直下の大岩へ合流

9P(Ⅲ⁺ 25m)
左岩稜ルートの最終ピッチを登り目印である杉の大木にて終了。

9P 左岩稜最終ピッチを登り登攀終了

【6~8P目は記憶があやふや。ブッシュ、露岩 木登りとスッキリした岩登りでなく印象が薄い。しかし登攀ラインは弱点を突き直上を意識して高度を上げれば終了点へ突き上げる。残置は殆ど無】

下降は西面下降路へ。毎年通っているが、昨今はテープが少なくなり迷いやすい中、慎重に下山。

登攀を終えて一枚
染める山肌と白の巨岩が美しい

直上ルート。名前通り取り付きより真っ直ぐラインを延ばす。3P以降は何処でもラインを引けそうな為ルーファイには非常に神経を使うルートだった。更に上部はブッシュと樹林へ突入する為、明星の他のスッキリしたルートとは異なる様に感じた。
今までの明星の印象とかけ離れた、泥臭い山行を楽しむ事が出来、明星に新たな発見を感じる山行となりました。

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