足尾 松木沢ジャンダルム中央壁 直上ルート

2023年1月14日  メンバーたぬき夫妻

天候 曇り

季節外れの暖気が入った。厳冬期なのに最高気温が氷点下に満たない予報。そうなれば暖気の影響から不安定要素の多くなる氷雪壁のアルパインは一旦保留にし、ドライを楽しみに足尾へ行ってきました。
日が昇る早朝、銅親水公園よりアプローチ開始。最近当てにならない天気予報は的中。季節外れの暖気とはいえ、この時期にしては異常に暖かく、周囲には積雪は有るものの気温だけで見れば晩秋と変わらない。
滑稽だがレイアニングの心配をしながら足を進めジャンダルム基部へ。
取り付きより望むジャンダルムの壁は、前日降雨が有った為かビショビショに濡れていた。ドライな為影響は少ないが、やはりメンタル的には影響有なのか若干陰鬱になる。
今回挑むルートは中央壁 直上ルート。幸い出だしの1P目は壁が立っているので完全なドライの状態だった為、登攀意欲が増す。通常大スラブまでは3P程だが、ドライの為墜落の危険を考慮し4Pと細かくピッチを切りながら登攀する。準備を整え登攀開始。
( )内は個人的な体感グレード スケル
【中央壁 直上ルート】
1P(Ⅴ 25m)
垂直のチムニー状から離陸開始。ホールドは少ないがフッキングが良く効く。中間部左のテラス状から右のカンテ状へ移る所が悪く感じた。垂直のチムニーを抜け残置ハーケンでピッチを切る

1P 立った凹角より高度を上げる 出だしとも有り緊張を強いられる

2P(Ⅴ 20m)
正面にはスラブが広がるが、ラインは左のコーナークラックへ取る。クラックへプロテクションを取り、スラブへスタンスを拾いながら高度を上げるには痺れた。
このピッチは#4以上のカムが有効に感じる。上部2本のクラック直下でピッチを切る

2P スラブにスタンスを拾い誤魔化しながら高度を上げる

3P(Ⅴ 20m)
コーナーに走る2本のクラック。左はオフィズス、右はハンド。左のオフィズスを主に全身を擦りつけながらジワジワ高度を上げる。このピッチも#4以上のカムが有効だった。抜け口は短いが草付になる為、アックスを打ち込み抜ける。

3P コナーに派生する2本のクラックを使いジワジワ高度を上げる

4P(Ⅳ 45m)
本来ならばフェース中央に走るクラックが正規直上ルートなのだが、疲労が目立ち始めた為このピッチのみ左ルートへラインを取る。
カンテ状から離陸しフェース左のクラックへ高度を上げる。20m程で下部岩壁を抜け、上部はガレた大バンドへ。ロープを引きずり大スラブ基部へ

4P 下部核心を抜けるのに難儀した為、左ルートへラインを取り若干のレスト

5P(Ⅴ⁻ 45m)
大スラブには顕著なクラックが3本走る。右(中央ルンゼ)中央(直上ルート)左(左ルート)。出だしはハンドサイズで快適に高度を上げるがダブルクラックが有る付近より一気に悪くなる。クラックにアックスをジャムし誤魔化しながら高度を上げる。非常に神経を使う区間。 上部に行くにつれ傾斜は緩むがスラブ状になり気は抜けない

5P 大スラブの登攀 正面中央のクラックへラインを取る

6P(Ⅳ⁺ 30m)
階段状の岩壁に右上する様にラインを引く。フッキングがあまり宜しく無い為、ホールドを掴みながらだが壁はビショビショに濡れ非常に悪く感じた。右上する為、ロープの流れが悪く上部は強引に抜けコブシ岩直下で切る

6P 事実上の最終ピッチ
びしょ濡れの壁に高度を延ばす

7P(Ⅲ 20m)
コブシ岩基部を左から巻きガレた凹角へ。 ロープを引きずりフリーで抜けるが、ロープが屈曲する為スタックには注意。
凹角を抜ければジャンのトップへ突き上げ登攀終了。

下山は側面下降路へ。
厳冬期としては快適な登攀だった。条件は良かったが、フリーでオールリード出来た事は今後の糧になった。

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