2023年10月12日 メンバーたぬき夫妻
天候 晴れ
今シーズンの秋は短い。となれば必然的に山岳帯では更に短くなる。そんな貴重なシーズンにアルパインをしながら秋を楽しみに行ってきました。
今回目指すルートは、東北地方にとって貴重なアルパインが楽しめる黒伏山。
おおらかな山並みが広がる中、標高1200m程の山に麓から稜線まで突き上げる岩壁は異様な様を感じ圧巻な存在に感る。
昨シーズン、黒伏山の看板ルートである中央ルンゼを登攀したので今回は三十路ルートを選択。個人的には所属する会の設立者が引いたラインなので是非とも押さえておきたいルートだった。
夜明け前、スキー場駐車場よりアプローチ開始。すぐに渡渉地点へ。数日前からの降雨の為か、水量はそれなりに有り飛び石伝いでは不可な為、裸足で渡渉する。朝一、出だし直ぐで体が温まらない中での渡渉はこれから登攀を控える者としては若干萎える。
山麓をトラバースする様に引かれた一般道を辿り南壁への離脱地点へ。小さな標識が有るが離脱地点を間違えなければ明瞭なクライマー道に導かれ南壁基部へ。日の出を迎え基部より望む南壁は、前日までの降雨の為か所々濡れていた。
途中敗退も視野に入れ登攀開始。
【三十路ルート】( )内は個人的な体感グレード スケル
1P~3Pは中央ルンゼと共有
1P(Ⅳ⁺ A0 30m)出だしよりⅤ級ピッチは緊張を強いられる。ハング間の浅い凹角へ進路を取り離陸。ハング間の凹角付近の処理が核心。残置は豊富に有った。取り付きより望む古い終了点を無視し更に7~8m登れば立派なラペルステーションにて切る
2P(Ⅲ⁺~Ⅳ⁻ 30m)
トポではⅢとなっていたが、出だしの5m程が若干悪くⅢ⁺~Ⅳ⁻に感じた。
3P(Ⅳ⁺ A0 35m)
終了点より左へ3m程トラバースしてから右上しブッシュ脇へラインを引く。残置は豊富に有った。上部左へトラバースする個所が嫌らしい。トポではデジマルで表記されるがアルパイングレードの方が有っていると感じるルート(此処までは中央ルンゼと共有するルート。トポの表記より辛く感じた)
4P(Ⅲ 30m)
暖斜面を直上し中間部より左上
【ここから短くピッチを切る。記載するピッチ数はトポと同じく記載】
5P前半(5.8 15m)
トポでは垂壁30mとなっていたが直ぐに終了点が有った為ピッチを切った。取り付きから望むに寝ている様に見えるが取り付くと立っている。
5P後半(5.9 30m)
中間部が一番立っていて5.9位に感じた。上部は傾斜は落ちるが岩が不安定で神経を使う登攀
6P前半(Ⅳ⁺ 20m)
3m程の垂壁から左上しルンゼ状へ。ルンゼ状はブッシュが酷かった。ルンゼを直上し小ハング直下まで。小ハングと記載されていたが、体感的にはハングに感じるレベルだったので無難に直下にあるハンガーとリングにて一旦ピッチを切る
6P後半(5.9 15m)
小ハングの処理。体感的には2段構成に感じマントルを返しながらの処理だった。見た目以上に快適なピッチだった
7P(Ⅴ⁺ A1 35m)
上部には10bが有るが個人的にはこのピッチが核心に感じた。出だしのスラブが非常に悪い。一手A1にて抜け垂壁上部を左へトラバース。更に傾斜は緩むが垂壁の処理。この区間も非常に悪く感じA0を多用し抜ける
8P(Ⅲ 25m)
草付と言うよりブッシュ帯を直上
9P(Ⅲ⁺ 25m)
数メートル凹角を登りスラブを右上しブッシュからトラバース
10P(5.8 25m)
右上気味に高度を上げる。フリーの要素が強い
11P(10b 25m)
垂壁の処理。フリーの要素が強く、壁にはハンガーが等間隔で打たれ快適。上部は若干悪いバンドをトラバースし終了点へ
【下山】
三十路ルート(5P以降)に入ってからはトポの記載とは別にラペルステーションが設置されていて非常に安心できる登攀だった。下降は同ルート懸垂可能に感じたが、ブッシュが多い為スタックするリスクを考慮し、計画通り一般道へ抜け下山。
トップアウト地点から15分程藪を漕げば一般道へ合流。ただし藪は濃い。
一般道へ合流すればよく踏まれた登山道に導かれる。暗くても道迷いの心配は少ないかと感じた。
紅葉はまだだったが貴重な秋を楽しめる山行となりました。