谷川岳 一ノ倉沢烏帽子沢奥壁 変形チムニー

2024年5月12日 メンバーたぬき KNZ ISK

天候 ガス後曇り時々晴れ

今シーズン、谷川のオープンは例年に無く早まった為、早々に谷川通いが出来ると思いきや、天候と日程が合わず個人的には例年通りのオープンと何ら変わりの無いスタートとなり、無雪期の谷川に岩を楽しみに行ってきました。
谷川岳のトップシーズンに当たる5月中旬の週末と有って大混雑を予想し、取り付き一番を試み早めのアプローチ。
ヘッデンの明かりを頼りに快適な車道を自転車にて走り一ノ倉沢出合へ。準備をと整え一ノ倉沢へ足を踏み入れ、夜明けを迎える。

夜が明ける 視界が効き始めるとガスに覆われた一ノ倉沢

視界が効き始めると曇天にガスを纏う岩壁が視界に入った。内心モチベーションは下がり重い足取りでテールリッジへ。
心配していた朝露、ガスからの岩への湿りは無かったが、テールリッジを詰めるにあたってガスは濃くなる。予報では夕方まで天候は持つとの情報にすがり以前重い足取りで高度を稼ぎ一番乗りにて取り付き到着。
一ノ倉沢奥壁に引かれるルート自体に一番乗りだった。懸念していた後続パーティーは確認できた者で2パーティーしか居らず拍子抜けする中、最終準備を整え依然ガスがかかる中、登攀開始。
( )内は個人的な体感グレード スケール (参照文献 日本の岩場 上)

【烏帽子沢奥壁 変形チムニー】
1P(Ⅲ⁺ 50m)
取り付きの目印は、RCC2本とリング1本から。階段状のフェースより高度を上げる。昨今は中間部(25m付近)にハンガーの終了点が整備されたが、トポ通りピッチは切らず50mいっぱい伸ばし狭いレッジに有るハンガー2本にて切る。技術的的には問題無いと感じるがこの区間でランナーが3本程しか取れず、出だしとしてはかなりの緊張を強いられるピッチ。

ガスの中フォローを迎え入れる 出だしと有って技術的には問題ないがランナウトが凄まじく緊張を強いられるピッチ

2P(Ⅳ⁺ A0 40m)
近年崩落が進んでいると言うフレークの処理から。ラインは複数取れそうだが、弱点を突けば自然と以前から登られているフレークへ自然と導かれる。
以前、登攀した時にはさほど悪く感じなかったが、明らかに崩壊が進み悪い。
核心は2~3手程の区間だが、剥がれそうなフレークにホールドを求め、スタンスの無いランぺにスネアで立ちこむムーブは緊張だった。フレークにNPを取ったとしても滑落すれば岩ごと飛ぶ感じだった為、迷わずA0にて抜ける。
崩落個所を抜ければ一気に傾斜は緩み変形チムニー直下の終了点まで伸ばしハンガーにて切る

見た目は簡単そうに見えるが実際は非常に悪い2~3手の処理だがA0にて抜ける

3P(Ⅳ⁺ 25m)
ルートの由来ともなるチムニーの処理。
チムニーを正面にに見、右壁に背を当てバックアンドフットにて高度を上げる。リードはザックをハーネスにぶら下げ処理。上部CS付近にて体制を正体に入れ替え右上にて抜ける。チムニー内は残置は豊富に有り、NPも決め易い。内面登攀な為、登り方は様々になると感じる

ルートの由来となる変形チムニー 内面登攀となる為登り方は個々によるムーブに感じた
変チを処理するフォロー 抜け口に苦渋する表情が萌える

4P(Ⅲ⁺ 25m)
10m程逆層気味のリッジを詰めバンドより中央カンテのラインへトラバース。
リッジの詰めは上部に見える終了点へ誘導されると間違いなので注意が必要。初見ではバンドへラインを取るルーファイ能力が必要に感じる。
今回トラバース区間はランナーが一切取れなかった。トラバースを終えれば中央カンテへ合流。

中央カンテへ向けトラバース ランナーが取れなかった為トップもフォローも関係ないピッチ

5P(Ⅳ 35m)
チムニーの処理から。下部変形チムニーからすれば小さいチムニーの処理。内面登攀と違い比較的体をチムニーの外へ出しての処理の為快適。

チムニーの処理だが体を外に出し豪快に抜ける

6P(Ⅲ 40m)
左にトラバース気味に進みリッジを回り込む。回り込めば脆いフェースを処理し終了点へ
7P(Ⅴ 40m)
上部核心ピッチ。3m程の垂壁を処理した後コーナークラックの処理。両方とも短いが悪い。上部コーナークラックの処理はビレーヤーから目視出来ないのでリードは精神的なストレスを感じるように思える。四畳半テラスにて切る。現時点では崩落したのか半畳ほどのテラス。

中央カンテへ合流し核心部の処理 垂壁の処理から
上部はコーナークラックの処理 悪いがNPは決め易いので豪快に処理

8P(Ⅲ⁺ 35m)
階段状のフェースから左上する凹角へ。テラスにて切る

烏帽子の肩の岩壁目指し高度を上げる

9P(Ⅳ⁻ 50m)
草付混じりの階段より高度を上げる。中間部より若干傾斜は出てくるがランナーはNPを含め取れるので精神的プレッシャーは少ない。烏帽子肩直下はトラバース気味に左上すると弱点に感じた。
烏帽子の肩の残置グルグルにて切る

終了点 烏帽子岩の頭が目前 直下で見ると意外と小さく感じる

【下降】
烏帽子の肩より残置グルグルにて空中懸垂。50m一本でピッタリ下降出来るが、下部の笹エリアまで下るには連結が必要。今回は連結にて笹エリアまで。

烏帽子岩の肩からは空中懸垂 反転すれば高度感が凄まじい

笹エリア直前の岩基部に沿ってトラバース。踏み跡は不明瞭だが有った。
岩基部のトラバースを終えれば踏み跡に10m程誘導され笹に覆われ入口が不明瞭な笹エリアを7~8m程下れば南稜終了点へ。
南稜終了点からは6ルンゼ下降。50m2本連結にて懸垂。ステンのラペルステーションが有る為ピッチの切り方は明瞭。古い残置ステーションでの懸垂はロープのスタックが有る為お勧め出来ない。

一ノ倉沢出合に戻り晴れた 次回訪問を向かい入れる様だ

天候は微妙だったがパートナーに恵まれ快適な谷川スタートが出来ました。

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