谷川岳 一ノ倉沢烏帽子沢奥壁 南稜フランケ

2024年5月19日 メンバー たぬき KNZ ISK

天候 高曇り後時々晴れ

本来予定していたルートは奥壁ダイレクト。しかし前回偵察を兼ね変チを登攀した折ルートを目視するとブッシュが覆い茂り快適とは言えない状態だった為、登攀を断念し下部ルートは奥壁ダイレクトと共有する南稜フランケへ谷川を楽しみに行ってきました。
数年前に登攀した事の有る南稜フランケ。初めて登攀した時は強烈な印象が有ったが、時を重ねる事に印象は薄くなりルートの悪さのイメージより楽しかった印象へすり替わっていく。山屋の性と言うより人間の性なのか。
数日前の計画段階では登攀への期待、楽しみが勝っていたが前日となるとやはり緊張が脳裏に浮かぶ。
更にガイドブックに目を通すと「墜落が絶対いに許されない~~」との文言が記載され不安を抱く中、当日を迎えインフォメーションセンターよりアプローチ開始。
トップシーズンの谷川と有って早めのアプローチを決め込み一ノ倉沢出合にて日の出を迎える。

一ノ倉沢出合にて夜明けを迎える

軽く準備をと整え一ノ倉沢へ足を踏み入れる。
出合付近まで残っていた雪渓は消えゴーロから右岸に付けられた夏道を辿り詰めてゆく。短い区間だったがこの時期に夏道を利用するのは初めてで雪の少なさに内心驚きながらテールリッジへ。

出合付近の雪渓は既に崩壊が進み一部夏道を辿る

早朝でも快晴なら焼かれる様な日差しを浴び、大汗をかきながらのテールリッジの詰めも本日は高曇りな為快適に高度を上げ一番乗りで一ノ倉沢の岩壁に到着。
トップシーズンにては、決して早すぎるアプローチ開始時間で無かったにしても前回に引き続き一番乗りとは拍子抜けすると共にアルパイン人口が減っている事に対し切なさを感じた。
取り付き点である鎌形ハング下のテラスにて最終準備を整え登攀開始
( )内は個人的な体感グレード スケルな為若干文献とは違う(参考文献 日本の岩場上)
【南稜フランケ】
1P(Ⅴ 40m)
鎌形ハングの右端より右上し高度を上げる。出だしのⅤは非常に悪く感じ更に全体的に外径した岩壁に緊張を強いられる。更にNPやハーケンを打てるリスが無く出だしとしては非常に緊張を強いられる

1P 出だし早々逆層のⅤ級には痺れる

本来の終了点は打ち換えられ5m程上部にハンガー2本で構築されていた
2P(Ⅴ 30m)
離陸が非常に悪い。更に中間部までランナーが取れない為技術的な問題よりメンタルへの負荷が有るピッチ。残置は無いが登攀ラインは明瞭。終了点はハング直下まで

2P 離陸が非常に悪くその後中間部までランナウト 上部ハング下まで

3P(Ⅴ⁺ 35m)
ハング下を5m程トラバースしてからカンテを越へフェースを6~7m右上してから直上。カンテを越えてからはカチホールドスタンスの非常に悪いフェース。トポにはカンテを出て直上と記載されるが更に右上してから直上の表現の方が有っていると感じた。所々#0.75までのNPが決まる個所が有った。下部1.2Pと異なり外径は少ないが終始カチルートで痺れる。

3P ルート上の核心ピッチ 終始カチでルーファイ能力を問われる 生きた心地がしない
3スラをバックにフォローを迎え入れる

4P(Ⅴ⁺ 35m)
上部に目視できる残置スリングはYCCルートの様に感じた為却下し左上するフェースへラインを取るが出だしよりランナウト。メンタルには負荷が大きい

4P 出だしが非常に悪くランナウト 高度を上げるに連れ難易度は落ちる

中間地点まで来れば若干難易度は落ちる。左のカンテというよりスカイライン目指しラインを取りフェースを直上。後半は快適だがランナウト

5P(Ⅴ 45m)
左上には弱点に見える草付のバンドが有るがこれは南稜フランケダイレクトの様な為却下。
フェースを直上し正規ルートで有ろうラインへ高度を上げる。出だしが嫌らしい。ランナーは取れないので緊張を強いられながら離陸。中間部より上部は草付混じりの登攀だった。

5P 南稜フランケ最終ピッチ 上部スカイライン目指し高度を上げれば南稜馬の背へ合流

草付のハング帯下に派生する左上草付バンドを辿り高度尾を上げると南稜馬の背リッジへ合流。
事実上の南稜フランケ終了点。

6,7P(南稜)
多くの情報が上がる為、割愛。

7P 南稜最終ピッチは残置が多く安心の登攀

ショートルートながらピリッと辛い登攀を楽しめた。まんざらでも無いガイドブックのコメントには共感。確かにランナウト必須で墜落はNGに感じた。

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