足尾 ウメコバ沢 チャンピオン岩稜

2024年6月19日 メンバーたぬき夫妻

天候 終日快晴

本来2日間で北アルプスを予定していたが、初日が警報級の降雨の為あえなく断念。しかし翌日は快晴予報、予定していた山行を実施出来なかった事は残念だが梅雨入り直前にて1日でも晴天予報が付くのは良しとし、予定を変更し足尾へ岩を楽しみに行ってきました。今回目指すは足尾でも一番ボリュームの有るチャンピオン岩稜。以前登攀した事も有るが、殆ど記憶が曖昧になった為新鮮な気持ちで挑みます。

すっかり陽が昇る頃より銅親水公園よりアプローチ開始。通い慣れた水平道を辿り緑が戻ってきている足尾の山並みを確認しながら足を進め最奥部であるウメコバ沢出合へ。
晴天にも関わらずウメコバ沢出合は鬱蒼とした雰囲気をかもし出す

ジャンダルムに出迎えられる 何度見てもこの構図が好きだ

。前日の大雨の影響から渡渉に若干の心配は有ったものの問題なく渡渉しF1,2をFIX頼りに高巻けば一気に沢は開け明るい雰囲気の中遡行。
チャンピオン岩稜へはウメコバ沢床からでは全容を目視する事は出来ない為目印であるジャンクションピークを目指す。

チャンピオン岩稜へ向けアプローチの目印である顕著なジャンクションピーク 直下のルンゼを詰める

ジャンクションピークへの取り付きはチコちゃんルート対岸(右岸)のルンゼから伸びる上部に見える顕著なピナクルを目指す。
濡れていると悪いが所々FIXが有るので問題は無い。ジャンクションピーク直下より20m程下るとR7の1ルンゼ2ルンゼの合流点へ出る。ルンゼの合流点より伸びるリッジがチャンピオン岩稜末端となる。
取り付きは末端からでも問題ないが2ルンゼを少し詰めた所より離陸した方がトポ通りのロープスケルになるだろう。末端から離陸すると2Pになる。
準備を整え登攀開始。

【チャンピオン岩稜】 ( )内は個人的な体感グレード、スケル【参考文献 アルパインクライミング ルートガイド 八ヶ岳南アルプス谷川岳編】
1P(Ⅲ 30m)
何処でも登れそうな暖斜面のフェースから高度を上げる。易しいがブッシュが非常にうるさい。安定したテラスにてピッチを切る。

1P チャンピオン岩稜末端から高度を上げる 出だしはフェース状なので概念がつかみ難い

2P(Ⅳ 40m)
出だしより一旦左寄りに高度を上げフェース状へ移り高度を上げる。

2P フェース状をスカイライン目指し高度を上げればリッジへと形状は変わる

 

3P(Ⅴ 40m)
トポには凹角左のフェースとなっていたが真正面の凹角へ進路を取る。スタンスホールドは豊富だったがバックアンドスッテプ気味で登るにはザックを背負っての登攀は難儀した。

3P 凹角の処理 ザックが邪魔で難儀

4P(Ⅳ 40m)
リッジに沿い巨大な岩峰を処理してゆく。高度を上げるにつれ浮石が多くなり非常に神経を使う。

4P 岩塔群の処理 高度感が気持ち良くグイグイロープを延ばす

5P(Ⅳ 40m)
ラインは左右に選べるようだが(左はフェース)、明らかに弱点で有る右の凹角へラインを取る。  凹角を抜ければ若干の歩き。

5P 出だし2~3mトラバースしてから凹角へラインを取る ホールドスタンス豊富で快適
振り返れば対岸の中央岩峰 日本離れした光景が美しい

6P(Ⅵ 40m)
ビレイ点よりギャップ気味に一旦下がり核心へ突入。出だしのハング越えが核心。
ハング下にハンガーが一つだけ打たれていた為豪快に抜けるが、ホールドスタンス共に非常に悪い。
核心は約20メートルほどで通過出来るが更にロープを延ばし7P前半のⅤ⁻を抜ける。

6P ルート上の核心ピッチ 出だしのハング越えが悪い 抜けてからのフェースも悪い

7P(Ⅲ⁺ 40m)
上部スカイライン目指し高度を上げる。非常に岩質が悪く浮石というより岩が積み重なっている状態。70~100㍑程の岩が常に積み重なる状態だった。

7P 上部スカイライン目指し岩稜を詰める

8P~10P(Ⅲ~Ⅲ⁺ 150m)
此処から3p程Ⅲ~Ⅲ⁺程の岩稜を登り、不安定な岩稜をトラバース気味に進み下降地点であるR7 2ルンゼへ進路を取る。

8P~10P Ⅲ~Ⅲ⁺程の岩稜を処理し2ルンゼ下降地点へトラバース

2ルンゼはチャンピオン岩稜と並行しており、仮に敗退時は支点が確保できれば容易に下降できると感じた。
50m連結、懸垂5回とクライムダウンを交え取り付きまで戻る。取り付きからは往路のジャンクションピークへ登り返さず、そのまま2ルンゼへ下降をし2Pの懸垂にてウメコバ沢へ降り立つ。

取り付きからはJPへ登り返さずそのまま2ルンゼを懸垂しウメコバ沢へ降り立つ

足尾山塊は日本離れした光景が連なっている。ジャンから始まり幕岩、ウメコバ沢と足を進める程、岩が大きくなり山屋には魅力的だ。
硬い岩に慣れたクライマーに取っては非常に悪いと感じ酷評するであろう。しかし残置は無くNPメインで登攀するチャンピオン岩稜は残置を追う様なゆとりクライムと異なり、新鮮な感覚にて登攀を楽しむ事が出来ました。
今後、多くのクライマーを迎え共感出来ればと思う。

※近々にて、支点整備が行われたため参考文献と若干のロープスケルの差が有ると思うがほぼトポ通りに感じた。
最上部100m~150mの岩稜の処理は簡単なクライミングになるので歩き感覚では無かった。
いずれにしろ、感覚的には岩稜伝いに詰めスカイラインから岩稜正面右に見えるルンゼへトラバース。(核心ピッチ抜けてから意外と長い)

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