奥鬼怒 黒沢赤岩沢~魚沢

2024年7月6日  メンバ―たぬき夫妻 KNZ ISK 会外1名(沼田山岳)

天候 曇りのち雨

梅雨に入ったと言えども空梅雨。更に午後には広い範囲で夕立に見舞われる。平野部では35度以上の異常な高温が連発すればもはや梅雨明けと同然。
本来アルパインの予定をしていたが天候が不安定。不安定だが暑さは変わらない為、涼を求め沢を楽しみに行ってきました。
今回パーティーメンバーから提案の有った沢を選んだ。奥鬼怒に有る黒沢。量販されている遡行図には掲載が無いが、一部の沢屋には知られているマニアックな沢だった。
沢登りな為遡行は勿論沢だが、下降も沢で涼を求めるには持って来いのルートだ。更に調べると赤岩沢を遡行し魚沢を下降する方が面白そうなので遡行下降を、その順路へ。結果的には逆ルートである魚沢遡行、赤岩沢下降の方が面白い様に感じた。
山行前日にてSNSをあさり、にわか的に情報を頭に積み込み、起点である夫婦淵駐車場よりアプローチ開始。
林道を辿り足を進める途中下降路で有る魚沢出合を見送り更に足を進める。

林道を辿りアプローチ
途中に下降路である魚沢出合を横目に更に林道を詰める

巨大な堰堤が現れ、堰堤を林道より越した後荒れた河原へ降り立つ。河原へ降り立てば赤岩沢の出合は目前だった。
【赤岩沢 遡行】
赤岩沢出合はゴーロが積み重なった様相でこの先に沢が続いている様には思えない感じだった。

赤岩沢出合 沢と言うより沢状にガレが蓄積されたありさま

事前の情報収集を疎かにすると見過ごす感じだ。
赤岩沢遡行開始。と言ってもゴーロ歩き。直ぐに巨大堰堤が現れるが右岸から巻き更にゴーロ帯を詰める。

堰堤を越えればゴーロ帯を暫く詰める

一向に水線が出てこない事に不安を抱きつつ遡行を続けるとようやく水線が現れ小粒な滝がチラホラと。此処まで火照った体には水線から受ける涼が気持ち良く快適に高度を上げる。

水線が現れると小粒な滝がチラホラ現われ火照った体に涼を感じ快適に高度を上げる

水線を辿り遡行し始めれば下段2段50m大滝が現れる。(赤岩沢には2段50m大滝が二つ存在する為紛らわしい。記載は下段、上段と記載する)
此処までほぼ歩き的に遡行して来た身にとってはいきなり現れる大滝は強烈なインパクトがあった。しかし取り付きにてルーファイすれば弱点は多数ある様に感じた為直登する。

下段2段50m大滝が現れる アプローチから小粒な滝を処理してきた身にはインパクトの有る存在

50m2段構成だがロープスケル的には60m以上になるかと感じた為、上下段にて分けピッチを切った。下段は階段状で容易。上段は若干立つが弱点を突けば問題なかった。一応ハーケン2本打ちランナーを取った。

下部2段50m大滝の処理 ロープスケルになると70m程有する為2Pにて抜ける

全体を通してこの滝以外の処理はNPは不使用だった。
下部大滝を処理すれば小粒な滝と所々現れるナメを処理し上部2段50m大滝が現れる。

ナメと言ってもそれなりの滝
小粒な滝の処理も快適で楽しい

下段50m大滝と比べ難易度は明らかに上がるのは一目瞭然だった。ただ良く観察すると上段大滝も弱点は有る。 しかしプロテクションの設置の問題から、墜落は直で死を意味する渓相な為セオリー通り高巻く。

上部2段50m大滝が現れる ルーファイすれば弱点は有るがプロテクションの設置に不安を抱き高巻く

此処は左右岸悪そうだが何方でも取れそうだった。と言うより、どちらかを選ばないといけない状況だった。現場にてルーファイの結果右岸から大きく高巻く。濃い藪を漕ぎ高度を上げトラバース気味に進めばドンピシャで50m大滝落ち口へ。
大滝を高巻いてから最終12m階段状滝までは思いの他長かった。

階段状滝は高度感は有るが由来の通り階段で快適

階段状滝を処理すれば渓相は源頭の雰囲気をかもし出す。源頭を過ぎれば藪漕ぎを強いられながら沢状を詰めて行く。沢から上がった藪の処理は不快極まり無い状況の中、ルート上の目印である黒沼田代を目指せば一気に藪は消え目前には湿原が現れる。

源頭から不快な藪を越え一気に視界が開ければ黒岩田代へ突き上げる 視的な美しさに不快な藪漕ぎから解放された心境が相まって言葉では表現できない程美しかった

黒岩田代だ。沢を遡行し藪を漕いだ身と有っては、こじんまりとした田代だが美しい。更にワタスゲがアクセントを加えた。
登山道が走っていないこの田代は秘境中の秘境に感じる。田代の片隅にて昼食を取り後半の魚沢下降へ。
【魚沢 下降】
田代から方角を見据え下降沢である魚沢を目指す。踏み跡が無い為、GPSやコンパスが必要と感じた。涸れた枝沢状へ入れば自然と魚沢へ導かれる。高度を下げると徐々に水線が現れ更にナメが現れる。渓相は明るく快適。

下降は魚沢 永遠とナメ基調だが変化に富んで面白い

終始ナメ基調の魚沢だが所々10m程前後の滝が現れ渓相もナメからゴーロ、更にゴリュジュ風と変化が著しく繰り替えられる為飽きない。 遡行すれば楽しい沢に感じたが実際遡行すれば高巻を踏まえれば感覚はどうなのだろう?隣の芝は青く見える的な感情なのかもしれない。
ともあれ、下降も懸垂を交える為時間を要した。

下降した後ちょっとだけ泳ぐ区間もある
悪い滝は水線を浴びながら下降する個所も有った
20m2条美滝
美しいが遡行するとなればナメの為 巻きが妥当だろう
更に最後はゴリュジュの渓相になるが右岸から容易に巻き出合へ

出合ににたどり着く頃には生憎の雨。しかし予報では正午より雷雨予報になっていた為、天候が持っていた事に感謝し帰路へ。

今回の山行に当たって沼田山岳会の方と面識を持つことが出来た。昨今は山を楽しむ人口が減りつつある中、山を尊ぶ方と交流を持てた事は山行以上に嬉しく感じた。

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