屏風岩東壁雲稜ルート

2024.8.3~4

メンバー:ISK、KNZ

今年は人工の練習をそれなりに行い、赤蜘蛛に行くことができた。人工登攀は正直なところフリーで登るより楽しさは半減する。おそらく暫く人工登攀を行わなければ、「次はどこの人工ルートに行こうか」などという会話は生まれないに違いない。そんな人工には魅力を感じない状況がイメージできたことから、折角なのでもう1本行っておこうとのことで屏風岩に行くことにした。

目的は東壁東稜。ほぼ完全な人工ルートだ。5.6年前に登ったことがあり、そのまま涸沢に抜けたことがある。

上高地には6時ごろ到着。気温も低くひんやりとして気持ちが良い。ここに来ると気持ちはいつもワクワク感にかられる。

来れば必ず撮る河童橋からの写真。

今年は左岸の林道が出水のため通行止めとなり、右岸の道より行くこととなる。初めて通るので新鮮な気持ちだった。

横尾で明日の分も含め水を汲む。量は個人任せ。年齢を重ね確実に体力の衰えを感じていることから自分は過去に運んだ量より少なくして5.5リットルとする。

横尾を過ぎ、暫く行くと屏風岩に向けて渡渉しなければいけない。水は半端なく冷たく涙が出るほどだった。ISKはお約束通り渡渉中間地点で尻もちをつき半身浴状態となる。自分は開いた口がふさがらず、ISKが自力で立ち上がり岸に上ってくるのをニヤニヤして見ているだけだった。ISKは灼熱の暑さが予想されるので丁度良いと言っているが、確かにその通りとも思う。

1ルンゼを登り上げるとやがて威風堂々とした屏風岩が姿を現す。

T4尾根手前より。

暑い暑すぎる。分かっていたが暑すぎる。滝のように流れ出る汗に水分補給を行いたいが、水の摂取ペースは守らなければ後が干からびて辛いものとなる。

寒ければ「太陽出てきておくれ」、暑ければ「お前は隠れていてくれ」。いつもながら勝手な理屈でブツブツ文句がでる。ISKは暑すぎて愚痴を通り越し怒っているようだ。

午後になれば日は陰るからあと数時間の辛抱だが、、

T4尾根は4~5Pのクライミングだ。この重量を背負っての登攀はこれまた痺れる。掴める物はすべて掴みよじ登っていくという表現がぴったりだった。1P目終了点より見ると下には後続パーティがいた。歩きも含め5PをこなしT4テラスへ到着。最後のピッチは3級となっているがそんなことはあり得ない。4級はあるだろう。

宿泊予定地であるT2テラスが見える。15分も行けば着く距離だ。

が、T2へのトラバースの踏み後を進むとやけに外傾した斜面になっている。少し進むとザレタ斜面に部分的に顔を出している岩を踏んで下降トラバースを行う。悪い。悪すぎる。前に来たときはこんな危険は感じなく、慎重に行けば問題なかったはず。ロープ出すこともできないし、どうするか。行っていけないことはないけど滑れば200mは落ちるだろう。やめましょう。無理してもしょうがない。下降時にもまた通過しなきゃいけないし。

かくして、幸いにも電波が通じたため会長へ連絡し第2案の雲稜ルートへ変更となった。

T4テラスでは後続の名古屋山岳同志会の方と場所を分け合いお世話になる。

また、ツエルトをタープのように張っただけだったが快適に過ごせた。

2日目は5時過ぎに雲稜取付きスタート。1P目途中の小ハングには少してこずったが楽しく登れる。

スタート!

小ハングは思い切ってパワーで登る感じ。

2P目は非常にきつく感じた。際どいトラバースとランナウトする脆い垂壁はメンタルがやられたが、今年は何回か同じような怖い登攀をしていたため思い切ることができた。

3P目は人工ルート。あぶみの架け替えで進む。途中で、これやばいんじゃないのっていうお約束の細い変なボロい紐にあぶみ掛けたりはあったがそれは仕方がないことと諦める。

人工パートをあぶみで登ってくるISK。この頃から2人とも暑さで朦朧としてくる。水飲んで塩分とるが、体が熱せられ体温が高いことが明らかにわかる状態だった。

4P目は垂壁とトラバースから草付きルンゼを少し登ってピッチを切る。このピッチ恐怖のトラバースとプログ等にはあったが、2P目の方がよっぽど恐怖だったというのはISKと同意する。

5P目はクラックが走る。恐らく体調が普通であれば問題なく登ることができたのであろうが、かなり一杯になっていたので時間がかかる。

6P目も決して楽ではないが、自分の状態を見てISKがリードを請け負ってくれる。終了点までロープを延ばしてもらった。これによりISKもエネルギーを使い切った感じとなる。

時間も押しているのですぐに懸垂下降に取り掛かる。初見ルートだったので慎重に作業を行い9回の懸垂下降をトラブルなく降りることができた。

この時期の屏風岩は暑さでやられるということが良く分かる山行となった。

 

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