山の奥深く、冬の静寂に包まれた谷間に、
氷瀑は息を潜める。
かつて奔流だった水は、時を閉じ込め、
青白い結晶の鎧を纏った。
陽光が差せば、氷は夢を見る。
微かな煌めき、溶けかけた滴が頬を伝い、
風に触れた音は、遠い昔の川の記憶。
夜が訪れれば、冷気がすべてを封じる。
この静寂の塔を前に、
人はただ、畏れと憧れの狭間に立つ。
その氷を登る者よ——
砕けぬように、囁くように、
この冬の詩をなぞるがいい。
刃が刻むリズムは、
鼓動か、あるいは祈りか。
一歩、また一歩と、
登るたびに世界は狭まり、
背後にはただ、凍てついた沈黙が広がる。
冷えた空気に息を白く染めながら、
心の奥にある炎だけが、なお揺らめく。
覚えているか——
氷は永遠ではない。
季節が巡れば、
この塔は音もなく崩れ去るだろう。
流れとなり、やがてまた、
谷を駆ける川へと還る。
それでも人は登る。
儚さを知りながら、
冬の記憶に、指先を刻むために。
というわけで冬の詩もそこそこに、
米子不動にアイスクライミングに行ってきました。
メンバー KNZ ISK GEN
車を降りて、長い林道アプローチをこなし、テント場へ。
早めに出発したおかげで、先行のテントは1つもなく、場所は選び放題でした。
大沢出合付近の水場近くに設営しました。
初日はテントを張った近くの大沢エリアへ。
不動戻しに取り付きました。
寒波が入ったところで、風雪厳しく、かなり体感温度は低めでした。
氷もかなり硬く、叩くとパキパキ割れてしまい、アックスをきめるまでに何回も叩くことになり、かなり難しく感じました。
2日目、黒滝へ向かう途中。林道から撮影。
右奥が大沢エリア、中央が龍神エリア、左の方が正露丸かな。
カチカチ山と黒滝は更に左の為、写っていない。
2日目は黒滝へ。
米子不動の御神体である、不動滝のすぐ右が黒滝。
こちらも一見、ボコボコしていて階段状だが、形状が悪く氷もカチカチ。
シャバシャバより良いけど、氷はかなり硬い。
3日目は思案の末、ふたたび大沢エリア。夜叉へ。
1ピッチ目は傾斜はそんなに厳しくなくて、そこまで疲れなかった。
2ピッチ目は一部被った氷で、乗っこしでテンテンになってしまった。
2ピッチの登りを終え、終了点から懸垂で取付きへ。
残置のアバラコフがかなりしっかりしており、利用させてもらいました。
寒波が入り、とても寒い思いをしましたが、どの滝も氷結がすごく良かったと思います。
米子不動は日本屈指のスケールで大滝が並ぶエリア。
6級が安定して登れるように練習を積んで、来季また来たいと思いました。