谷川岳 一ノ倉沢烏帽子沢奥壁 中央カンテ

2026年5月17日  メンバー:たぬき げんちゃん KNZ ISK

天候 終日快晴

冬季に訪れて以来、約三ヶ月半程経った。季節は一気に進み厳冬の悲壮感漂う陰鬱な雰囲気とは一転、草木が芽吹き新緑が美しい季節が訪れる。当然ながら自然の摂理なので驚くことは無いのだが、五感で感じると表現し難い感情が有る。そんな感情を抱きつつ、モノクロからカラーへ変化し新緑が美しい谷川岳へ無雪期アルパインを楽しみに行ってきました。
日の出と共にアプローチ開始。平野部では日中、半袖でも汗ばむ気温が続くがアプローチ開始時は身震いする程寒かった。自転車を使い足を進め一ノ倉沢出合へ。
今シーズンは出合には雪渓が無かった。

一ノ倉沢出合 以前なら雪壁になっていたが今期は全く雪渓は無かった

そのシーズンの降雪量にもよるのだろうが、年々温暖化が進み以前出合に有った雪壁は見る機会が少なくなるのか。実際、変化して行く光景を目にすると温暖化が明らかに進んでいるのを実感する。
出合から望む一ノ倉沢には既にテールリッジを登るパーティー、更に中央稜を登攀するパーティーが目視出来た。谷川岳のトップシーズンだけあって気合が入っている。
一ノ倉沢を詰める。

早々に夏道に乗りアプローチ開始

少し行くと雪渓は現れるが直ぐに切れる為早々に夏道を辿り一ノ沢出合へ。此処からは雪渓伝いに高度を上げる。一ノ倉沢出合は雪渓が無く積雪量は少なく感じたが一ノ沢から上部は例年より積雪は多く感じた。不思議なものだ。

一ノ沢出合より雪渓へ乗る 此処からは例年以上に積雪が多く感じた この景色はこの時期見慣れた光景で安堵

テールリッジ末端にも大きなシュルンドは無くすんなり乗り移り大汗を掻きながら取り付きへ。

テールリッジ末端 警戒していたシュルンドは無くすんなりテールリッジへ乗り朝日に焼かれながら高度を上げる

先行していた数パーティーは中央稜、南稜を登攀し予定していたルートは先行無。
安堵しながら準備を整え登攀開始。

【中央カンテ】( )は個人的な、体感グレード スケル
1P (Ⅲ⁺ 40m) バンドをトラバースした後草付のルンゼを左上気味に抜ける。草付ルンゼは浮石が多いので注意が必要。

1P トラバースから登攀開始 以前より浮石が多くなっている様に感じた

2P (Ⅲ 50m) 浅いルンゼ状のフェースを左上気味に高度を上げる。傾斜は緩いが浮石が多くランナーは殆ど無い為、慎重に高度を上げる

2P 階段状な為技術的には問題ないが岩が脆く殆どランナーが取れない為緊張を強いられるピッチ

3P  (Ⅳ 40m) 左上するバンドよりカンテまで抜けた後カンテ伝いに高度を上げる。左上バンドへ離陸する個所が悪い。

3P 終了点よりフォローを迎え入れる 徐々に高度感が出てきて気持ちが良い

4P (Ⅲ 50m) カンテを直上し小垂璧を左から乗越し更に頭上に有る大岩を左から回り込みルンゼ状へ抜ける。途中2か所終了点が有ったがチムニー直下まで伸ばす。

4P チムニー直下まで 難度は低いが上部は非常に岩が脆い為落石には注意

5P (Ⅳ 30m) 短いルンゼ状を詰めチムニーへ取り付く。内面登攀というよりは体を外に出しステミングで豪快に抜ける。スタンスホールドは豊富に有るがランナーが取りにくい。岩が安定し快適なピッチ
6P (Ⅲ 35m) フェースを左上しカンテより右上 岩が脆い上にランナウトしグレード以上に緊張を強いられる
7P (Ⅴ 40m) ルート上の核心ピッチ。下部垂璧、上部コーナークラックと気が抜けないピッチ。下部上部との間にレッジが有り残置にてピッチを切ることも可だが繋げて抜ける。上部コーナークラックはカムが有効。

7P ルート上の核心ピッチ出だしは垂壁の処理からコーナークラックへ この区間で多重トラブル発生
コーナークラックの処理 
カムが有効

8P (Ⅳ 35m) トポには四畳半テラスと記載されていたが半畳にも満たない縮小さなたテラスより階段状のスラブを上がり左上し凹角より高度を上げる。此処までランナーが取れず非常に緊張を強いられる
凹角と言っても登攀するラインはカンテ状にラインを引く様に感じる

8P ルンゼ状を詰め左上する凹角へ ルンゼ状の処理はランナーが全く取れず緊張を強いられる

9P (Ⅳ 50m) 易しい草付から高度を上げ上部は徐々に立って来る凹状を抜けバンドより烏帽子岩基部(終了点)へ突き上げる。終了点は一枚岩の大テラス。スリングが多数巻かれていて明瞭。 (色々な文献が有る為 ピッチの切り方が様々 実際、途中に終了点残置は所々に有る為短くピッチ切る可)

最終ピッチ 烏帽子岩の方目指しロープ一杯伸ばす

【烏帽子の肩より下降】
35m 終了点の反対側よりいきなり空中懸垂。

下降はいきなり空中懸垂より 高度感が尋常では無い

50m連結にて懸垂しルンゼ状を渡りそのまま笹薮上部まで下降
笹薮と岩壁の基部沿いに右岸へ向かいトラバースした後、下部に伸びる踏み跡を辿ると南稜下降点へ到着。
【南稜(6ルンゼ)下降】
南稜終了点より50m連結にて4回の懸垂にて南稜テラスへ到着。

今回の登攀では最初から最後まで様々なトラブルが重なり予定していた以上に時間が掛かってしまったが無事登攀出来てホッとした。通い慣れた谷川と言う気の緩みからトラブルが重なったとしか言いようが無い。

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