岳沢 コブ尾根

2024年4月27日~28日  メンバーたぬき げんちゃん

天候 27日 晴れ時々曇り 28日 晴れ

今シーズンは積雪量が少なく高温の日々が続き、雪稜登攀にはあまり条件が良くない情報が出回る中、久しぶりにゴールデンウイーク中に連休を確保することが出来た。
そうなれば悪いと分かっていても山に行くのは山屋の性だろう。
今シーズン最初で最後になりそうな雪稜を楽しみに岳沢 コブ尾根へ行ってきました。

早朝の河童橋 GW初日と有って観光客の方が山屋より上回る

直近の天気予報は入山初日は悪天候の予報。しかし2日目登攀日は快晴予報の為、初日の悪天を我慢して入山する方針だったが、直前で予報は明転。初日、晴れの中ベースで有る岳沢小屋へアプローチ開始。
小屋開け初日と有って幕場は争奪戦かと思い短いアプローチにしては早出の出発。予想以上の高温に大汗をかく。途中から現れる雪渓に涼を求めるも焼け石に水状態だった。順調に足を進め約2時間で岳沢小屋到着。早めに到着した事も有って思い通りの場所に設営。時間も早い為、翌日登攀するコブ尾根の取り付きをした後、行動終了。

岳沢小屋の快適な天場にて宴会をし洛陽と共に撃沈

【コブ尾根】
この時期にしてはかなりの高温予報の為、雪が締まっている時間帯にある程度まで高度を上げたい気持ちから午前3時より行動開始。
後続も続々と行動を開始し始める。やはり考える事はみな同じなのか。
前日偵察したにも関わらずヘッデン登攀になると形状が分かりにくくルートミス。最初の二俣を右へとの事前の調べから二つ目に現れる二俣も右へ右へと詰めてしまい行き詰る。GPSで確認するとまだ修正可能な一の為、2回の懸垂にて正規ルートへ復帰するも、このルートミスで1時間程タイムロス。
気を取り直し正規ルートを詰めてゆく。この時点で日が昇りルートの概念図を把握出来るようになる。
急登の雪壁に喘ぎながら順調に高度を上げマイナーピークへ。今シーズン初コブ尾根なのかスノーボラードは無く、先行と作成し懸垂。初のスノーボラードの懸垂だったが以外に安心感はあった。

今シーズン初なのかスノーボラードは無かった為作成し懸垂
マイナーピークから望むコブ尾根の由来となるコブが印象的

懸垂後は目前に鎮座するコブを目指し雪壁を詰めコブの取り付きへ。雪面を奥に回り込む様に詰める。

コブの岩稜取り付き

通常3p程だが、力量によって切り方が変わる様に感じた。個人的な体感では2.3Pはロープは必要に感じた(Ⅲ⁺位)。

フォローを迎え入れる

岩稜を処理すればコブ岩の頭へ到着し懸垂。懸垂支点まで5m程クライムダウンするが非常に悪い。

コブの頭から懸垂地点までクライムダウン 非常に悪い

短いが捨て縄にて懸垂し懸垂地点へ。
ナイフリッジに降り立てばスカイライン目指し最後の雪壁に喘げば稜線へ突き上げる。山アルアルだが、もう少しの稜線は非常に長く感じた。

コブから懸垂後はスカイライン目指しひたすら雪壁を詰める
画的には気持ちよさそうだが非常につらい詰め

穂高岳方面から望む印象的なジャンダルムとは一味違うジャンを望み天狗のコル目指し日本で一番悪いと言われる一般道を1時間半かけて下る。体感的にはコブ尾根の登攀より天狗のコルまでの下山が核心に感じた。
天狗のコルより天狗沢を一気に下る。

天狗沢より下降 畳岩に乗るブロックから終始緊張を強いられる下降だった

畳岩に乗る今にも崩壊しそうなブロックに恐怖を抱きながら足早に高度を下げ岳沢小屋へ無事生還。
無事に帰れた安堵感を胸に下山。
山の世界から一転、観光客で賑わう上高地へ。

上高地へ降り立てば場違いな山臭を漂わせ観光客と共に帰路へ

技術的には岩稜を含む雪稜登攀で問題は無いが、登攀ラインは複数取れる為、ルーファイ能力の問われるルートに感じた。

思えば、雪稜というジャンルは那須朝日岳東南稜と谷川岳一ノ倉尾根の2ルートしか行ったことがありませんでした。
今回、雪稜初級ルートという位置づけですが、ルートファインディングの難しさや慣れていない雪壁の登り、スノーボラード懸垂など、盛りだくさんで楽しめました。
稜線に上がってからの下降ルートも岩稜帯と雪のミックスでなかなか悪かったです。
天狗沢の下降はブロック雪崩の恐怖がありましたが、疲れで足が進まず、ヒヤヒヤしながらの下降となりました。
充実の山行でした。
ありがとうございました。

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