荒船山艫岩 昇天の氷柱

2025年2月12日  メンバー たぬき 他1名

天候 晴れ

本来、今シーズンの目標である山行を予定していたが直近の寒波からのドカ雪の為予定を変更し、最近降雪の少ない西上州へアルパインを楽しみに行ってきました。今回のルートは昇天の氷柱。ガイドブックにはアイスクライミングとして記載されているが、昨今は氷の発達が著しく悪くアイスの要素が少なくミックス主体な為、個人的には冬季アルパインと認識して挑む。
早朝よりアプローチ開始。殆ど積雪の無い一般道より足を進める。低温注意報が出ていたが風は無く体を動かし始めれば汗が滲む。トラバース気味に引かれた登山道を辿り一般道離脱地点の一杯水より艫岩基部をトラバースし昇天の氷柱へ。
途中、攀船記のラインを偵察。今シーズンは上部の氷の発達が良く条件は良さそうだった。
取り付きへ到着。平日とも有り貸し切りと思っていたが某有名ガイドパーティーが入っていた。ピオネドールを取る実力が有るのに謙虚な姿勢は山は勿論、人間性を含め見習いたい。個人的な感情はさて置き、準備を整え登攀開始。
( )は個人的な体感グレード スケル
昇天の氷柱は毎年氷の付き方が変わるので記載は現日程の状況とする

【昇天の氷柱】
1P(Ⅴ⁻ 40m)
右端の比較的傾斜が緩いラインより離陸開始。氷質はドライで硬いが安定しアックスが良く決まる。決まり過ぎるくらいで抜くのに難儀するようだった。
上部洞穴は埋没していた為潜れず右のベルクラ状か左のチムニーかの二択。後者を選択し高度を上げる。チムニー内は泥だらけで不快。バックアンドフットを屈指しジワジワ抜け上部大木にてピッチを切る。

1P アイスのセクションから離陸開始

2P(Ⅳ⁻ 35m)
氷が繋がっていないのでドライで離陸開始。技術的には問題なくⅢ級位の岩を処理し氷へ乗り移る。此処も2~3手薄い氷を処理すれば上部はほぼ歩き。この区間にⅣ⁻を付ける感じだった。スクリュー2本にて切る。

2P 簡単なドライからりりくし氷へ乗り移る

3P(Ⅴ⁺ 35m)
ドライを想定していたが2P終了点より目視するに、氷はそれなりに育っていて快適そうに感じ、安堵しながら離陸開始。出だしの短い安定した氷を処理すると育っていると思った氷はベルクラだった。非常に悪い。むしろドライの方がまだ良い様に感じた。慎重にベルクラにアックスを引っ掛け氷と岩にスタンスを求め慎重に抜ける。
ハンガー2本の終了点にてピッチを切る

3P ルート上の核心ピッチ ベルクラの処理に非常に神経を使う
終了点より振り返ればニードルが美しい

4P(Ⅴ 35m)
昇天の氷柱名物の傘越えのピッチ。残念ながら今シーズンは殆ど無く奇形氷が存在する始末だった。昨今、傘は発達しない情報の方が多く残念だ。
ほぼドライから離陸、奇形傘付近までランナーが取れないので出だしはかなり神経を使う。アイスと言うよりドライセクションの方が多くアルパイン要素が非常に高いピッチだった。
上部は一気に傾斜が落ち立木にてピッチを切る。

4P 奇形傘までランナーが取れず緊張

登攀とは一転、終了点はおおらかな平地だ。一般登山者の不思議そうな目線を横目に装備を片付け、一般道より下山。
今シーズンの昇天の氷柱は例年以上に奮闘的でした。

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