一ノ倉沢3ルンゼ

2月17日~18日

メンバー:KNZ、HGY(会外)

一ノ倉沢3ルンゼに行ってきました。数年前から候補には挙がっていましたが、今回は過去1週間の降雪量と前日の一ノ倉沢偵察、当日現場での判断により好条件を掴むことができ行ってくることができました。

23時ベースプラザ出発。出合で装備を整え、一ノ倉沢最奥の3ルンゼに向う。前日見に来たデブリ帯を通過し、二ノ沢と烏帽子スラブに吸い込まれないよう注意深く進んだ。月明りはなく、ヘッドランプだけが頼りで、時々ランプを消して暗闇の中の岩峰群を凝視し現在位置を確認する。滝沢リッジらしきものを左手に通過すると間もなく滝沢大滝が出現した。昨年見たものよりずっと長く立っていて威圧感がとんでもない。今年の三スラはこの暖かさと寡雪ではもう無理かなと考えながら進むと大きなシュルンドに行く手を阻まれた。ここから3ルンゼ取付きまでが楽ではない。右手に20m以上はある傾斜60~70度ほどの雪壁をフリーで登らされるがすぐに次のシュルンドに遮られる。暗闇であるため効果的なルート選択が難しく、クライムダウンも交えながら神経を集中させ進む。中央奥壁を確認しやっとのことで2ルンゼらしきものを通過、3ルンゼをダブルアックスでよじ登っていく。パートナーも自分も昨年の無雪期に3ルンゼを訪れており、お互い3ルンゼの1P目の地形で間違いないと言葉を掛け確信しF1に向かう。F1直下まで来ると何かが違う。チョックストーン!?がある。いや3ルンゼにそんなもあるはずない。これは2ルンゼ??でもさっき2ルンゼは通過したはず。思い込みとは恐ろしく、不幸中の幸いで2ルンゼを登攀していることに気づき時間を費やしてしまったが修正することができた。

先にはあるはずのないチョックストーンがあった

 

3ルンゼのF1。岩壁は雪で覆われり、最上部は立っているが氷化しておりアックスとアイゼンの決まり良くコンテで進むことができた。

F2上部の半分は70度ほどの雪壁。40mほどロープを伸ばしスタカットにした。滝の下と乗っ越した先でスノーバーのランナーを取ったが滝部の25m程はランナーなしで緊張する。支点もスノーバーで構築。

F2の登攀

F3は下部の2/3はⅤ-のアイス、上部は立った雪壁となりルート中の核心部となる。氷部分はスクリューが効くが雪壁はランナー取れず、セットしたアイスフックの効き目は疑わしい。

F3の最初はアイスクライミング

F3を終えた時点ですでに周囲は明るくなり始め、上部よりパラパラと雪の粒が落ち始めた。上部城塞下の左上トレースはできる事なら日の出前に済ませたかったが、シュルンド処理とルーファイミスもあり1時間半の遅れをとっている。焦る気持ちもあるが、ただ幸いにもまだガスが立ち込めており気温の上昇は抑えられている。

上部城塞を左上する

上部の雪田に出たのが8時半ごろ。ガスは抜け暑くてジリジリする程の日差しに日焼け止めを塗る。自分たちがいる標高を境に眼下は雲海が広がり幻想的な景色となった。

雲海が美しかった

山頂まであと200mぐらいか。この先は無雪期は苦労した記憶があるが今回はそれほどではないと見立て、残りの工程もコンテで行くこととした。ところが直射日光により雪は腐り、いくら踏んでも登っていくことができない。アックスも雪を切るだけとなり、何度ももがいてやっと1段上がるという動作をひたすらに繰り返す。ビクトリーロードかなと思ったのは過ち。汗だくになりながら、笹を掘り起こしてランナーをとりつつ11時前に稜線に抜けることができた。ベースプラザには14時到着。

岩壁を右上するところから悪雪に苦しむことになった

今回の山行は夜間の登攀も含め多くの不安な要素がありましたが、経験豊富なパートナーに助けられ完登することができました。ありがとうございました。

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